- オステオパシーについて

自律神経が乱れると「音や匂いに敏感になる」
〜感覚過敏と迷走神経の関係〜
「ちょっとした音が気になる」
「人混みの匂いで気分が悪くなる」
「香水の匂いで頭が痛くなる」
こうした“感覚過敏”のような症状が、実は自律神経の乱れと関係していることをご存じですか?
特に「検査では異常がない」と言われた方にとって、こうした症状は周囲に理解されにくく、つらさが増してしまうこともあります。
今回は「音や匂いに敏感な人の自律神経の特徴」について、オステオパシーの視点も交えて解説します。
■ 感覚過敏とは?
感覚過敏とは、視覚・聴覚・嗅覚・触覚などの刺激に対して過剰に反応する状態をいいます。
例えば以下のような症状です:
• 音が「うるさい」ではなく「刺さるように感じる」
• タバコや香水の匂いで吐き気や頭痛がする
• 衣服のタグが皮膚に触れるだけで気になる
• 人混みや騒音の中にいると頭がぼーっとする
これらは五感の問題だけでなく、中枢神経(特に脳幹や自律神経)の反応性の問題と考えられています。
■ 自律神経と感覚過敏の関係
感覚情報は、脳の視床(ししょう)や脳幹部で処理されますが、その調整役を担っているのが自律神経の一部である「迷走神経」です。
◎迷走神経とは?
• 胃腸や心臓、肺、喉、顔面、耳などに広く分布している神経
• 「副交感神経」の中核的な働きを持ち、リラックスに関わる
• 感覚入力(特に「危険」「不快」な刺激)を、身体の奥深くから脳へ伝える
◎迷走神経と「防衛反応」
迷走神経は、危険やストレスを察知すると、「交感神経のスイッチをONにする」役割も担っています。
この状態が続くと…
• 脳が“警戒モード”になりやすくなる
• 五感が敏感になり、普通の刺激でも「過剰に不快」に感じるようになる
つまり、**感覚過敏は「神経系が過覚醒しているサイン」**でもあります。
■ オステオパシー的なアプローチ
オステオパシーでは、以下のようなポイントにアプローチして神経系の過敏性を和らげていきます。
✔ 頭蓋仙骨系(クラニオセイクラル)
• 脳脊髄液の循環、脳幹の緊張を和らげる
• 頭蓋骨の調整により、**迷走神経の出入り口(頸静脈孔)**周辺のストレスを緩和
✔ 横隔膜と内臓
• 呼吸の浅さや消化不良が「神経の緊張」の一因になる
• 特に胃・肝臓・小腸の硬さを取ることで、副交感神経が働きやすくなる
✔ 頚部〜胸郭出口
• 迷走神経や副交感神経系のルートが通る首回りのリリース
• 首の緊張が強いと、感覚入力(音・光など)が過敏になる傾向
【結論・まとめ】
感覚過敏という症状は、「心が弱い」「気にしすぎ」ではありません。
多くの場合、身体が“防御モード”に入りすぎている状態=自律神経の過覚醒が関係しています。
検査では異常がなくても、日常生活の中で強いストレスや疲労が蓄積すれば、迷走神経を通じて五感にも影響が出てくるのです。
当院では、オステオパシーの手技によって神経系の緊張を整える施術を行っています。
薬では治らない感覚過敏にお悩みの方も、一度ご相談ください。