2025.04.03
  • オステオパシーについて
感覚過敏・HSP・自律神経の不調がある方へ:オステオパシーの視点から

自律神経が乱れると「音や匂いに敏感になる」

〜感覚過敏と迷走神経の関係〜

「ちょっとした音が気になる」

「人混みの匂いで気分が悪くなる」

「香水の匂いで頭が痛くなる」

こうした“感覚過敏”のような症状が、実は自律神経の乱れと関係していることをご存じですか?

特に「検査では異常がない」と言われた方にとって、こうした症状は周囲に理解されにくく、つらさが増してしまうこともあります。

今回は「音や匂いに敏感な人の自律神経の特徴」について、オステオパシーの視点も交えて解説します。

 

■ 感覚過敏とは?

感覚過敏とは、視覚・聴覚・嗅覚・触覚などの刺激に対して過剰に反応する状態をいいます。

例えば以下のような症状です:

• 音が「うるさい」ではなく「刺さるように感じる」

• タバコや香水の匂いで吐き気や頭痛がする

• 衣服のタグが皮膚に触れるだけで気になる

• 人混みや騒音の中にいると頭がぼーっとする

これらは五感の問題だけでなく、中枢神経(特に脳幹や自律神経)の反応性の問題と考えられています。 

■ 自律神経と感覚過敏の関係

感覚情報は、脳の視床(ししょう)や脳幹部で処理されますが、その調整役を担っているのが自律神経の一部である「迷走神経」です。

◎迷走神経とは?

• 胃腸や心臓、肺、喉、顔面、耳などに広く分布している神経

• 「副交感神経」の中核的な働きを持ち、リラックスに関わる

• 感覚入力(特に「危険」「不快」な刺激)を、身体の奥深くから脳へ伝える

◎迷走神経と「防衛反応」

迷走神経は、危険やストレスを察知すると、「交感神経のスイッチをONにする」役割も担っています。

この状態が続くと…

• 脳が“警戒モード”になりやすくなる

• 五感が敏感になり、普通の刺激でも「過剰に不快」に感じるようになる

つまり、**感覚過敏は「神経系が過覚醒しているサイン」**でもあります。 

■ オステオパシー的なアプローチ

オステオパシーでは、以下のようなポイントにアプローチして神経系の過敏性を和らげていきます。

✔ 頭蓋仙骨系(クラニオセイクラル)

• 脳脊髄液の循環、脳幹の緊張を和らげる

• 頭蓋骨の調整により、**迷走神経の出入り口(頸静脈孔)**周辺のストレスを緩和

✔ 横隔膜と内臓

• 呼吸の浅さや消化不良が「神経の緊張」の一因になる

• 特に胃・肝臓・小腸の硬さを取ることで、副交感神経が働きやすくなる

✔ 頚部〜胸郭出口

• 迷走神経や副交感神経系のルートが通る首回りのリリース

• 首の緊張が強いと、感覚入力(音・光など)が過敏になる傾向

【結論・まとめ】

感覚過敏という症状は、「心が弱い」「気にしすぎ」ではありません。

多くの場合、身体が“防御モード”に入りすぎている状態=自律神経の過覚醒が関係しています。

検査では異常がなくても、日常生活の中で強いストレスや疲労が蓄積すれば、迷走神経を通じて五感にも影響が出てくるのです。

当院では、オステオパシーの手技によって神経系の緊張を整える施術を行っています。

薬では治らない感覚過敏にお悩みの方も、一度ご相談ください。