- オステオパシーについて
「なんだか疲れが取れない」「休んでいるのに休まった感じがしない」
そんなふうに感じることはありませんか?
現代人の多くが抱えるこの“疲れの正体”に対して、心療内科医・鈴木裕介先生は、著書『心療内科医が教える 本当の休み方』の中で、自律神経の新しい視点を紹介しています。 それが「ポリヴェーガル理論(Polyvagal Theory)」に基づくアプローチです。

ストレス反応は3つのモードに分かれる
自律神経の状態を以下の3つのモードに分かれています。
🔥 炎のモード(交感神経が優位な状態)
• 緊張・焦り・イライラなど、「戦うか逃げるか」のモード
• 呼吸が浅く早くなり、心拍数や血圧も上昇
• 過剰に頑張ってしまったり、ピリピリしやすい状態です
対処法:クールダウンして安心を取り戻す
セルフケア例:
• ゆっくりと鼻から吸って口から吐く腹式呼吸
• 温かいハーブティー(カモミールやラベンダーなど)
• 静かな音楽や自然音を聞く
• 湯船にゆっくり浸かる(38〜40℃がおすすめ)
• 電気を落とし、間接照明だけにして過ごす
❄️ 氷のモード(背側迷走神経が優位な状態)
• 無気力・無関心・放心など、いわゆる“シャットダウン”の状態
• エネルギーが極端に低下し、「何もしたくない」感覚が強くなります
• うつ状態のような反応に近いことも
対処法:少しずつ活力を引き出す
セルフケア例:
• カーテンを開けて朝の光を浴びる
• 短時間の散歩やストレッチ(たとえ5分でも◎)
• フレッシュな香り(レモングラス、ミントなど)を使う
• 手を温める・首を回すなど、ゆるやかな身体刺激
• 好きな音楽や動画で「感情」を少し動かす
🌿 リラックスモード(腹側迷走神経が優位な状態)
• 安心・つながり・穏やかさを感じられる状態
• 深くゆったりした呼吸、安定した心拍、落ち着いた表情や声
• 人と関わりながらもリラックスできる、本来の休息状態
対処法:この状態を「保つ」「広げる」ことが重要
セルフケア例:
• 信頼できる人との会話や一緒に過ごす時間
• ゆっくりしたリズムのヨガや瞑想
• 自然の中で過ごす(公園、海、山など)
• ペットと触れ合う、植物を世話する
• 呼吸と姿勢を意識するボディワーク

休み方は「自分の今のモード」に合わせて選ぶ
鈴木先生が強調しているのは、「誰にでも効く休み方はない」ということです。
大切なのは、今の自分がどのモードにいるのかを見極め、それに応じた休み方を選ぶこと。
たとえば、「ぼーっとして動けないとき」に、アロマを焚いて深呼吸しても逆効果。
逆に、「イライラして止まらないとき」に、無理に体を動かそうとしても余計に疲れてしまいます。
補足
ポリヴェーガル理論(Polyvagal Theory)とは
アメリカの神経科学者**スティーブン・ポージェス博士(Stephen Porges)**が提唱した、自律神経の新しい理解の枠組みです。従来の「交感神経と副交感神経」の二分法を超えて、副交感神経をさらに2つのルートに分けて考えるのが最大の特徴です。
ストレス反応は3つのモードに分かれる
自律神経の状態を以下の3つのモードに分かれており、 副交感神経には「安心の神経(腹側)」と「遮断の神経(背側)」の2系統があるとされているのが、ポリヴェーガル理論のポイントです。
🧠 なぜこの理論が大事なのか?
• 「副交感神経=リラックス」だけでは説明できない“無気力”“動けなさ”がある
• トラウマや極度のストレスは、交感神経を超えて背側迷走神経のシャットダウン反応を引き起こす
• 人とのつながり(社会的関係)によって安心が生まれ、自律神経は整いやすくなる
つまり、
自律神経の調整には「安心・つながり」がとても重要
というのがポリヴェーガル理論の核心です。
まとめ
「がんばりすぎて燃え尽きてしまう」
「何もしなくても疲れが取れない」
「うまく休めない」
そんな悩みの裏には、自律神経のバランスの乱れが隠れているかもしれません。
自分の「モード」を知り、それに合わせたセルフケアを行う。
それが、現代人にとって本当に必要な「休み方」です。
引用:鈴木裕介著『心療内科医が教える 本当の休み方』(アスコム)