2025.04.23
  • 症例報告
季節の変わり目に悪化する原因不明の胃腸の不調

■患者さんの声

「毎年春や秋になると体調が崩れて、特に今回は熱が出たあとも体の重さが続いて不安でした。

病院では異常がなくても、オステオパシーで全身を見ていただき、過去の手術や自律神経のことまで説明してもらえたことで、納得して施術を受けることができました。

息苦しさや体のだるさが回を重ねるごとに少しずつ楽になってきていて、呼吸法やストレッチも取り入れやすいものばかり。安心して通える場所が見つかって良かったです。」 



■患者情報

年齢・性別:40代・女性

主訴:不定愁訴(全身倦怠感・息苦しさ)、胃腸の不調、食欲不振

既往歴・服薬:HSP気質あり/過去に自律神経失調症/4年前に子宮内膜症の癒着剥離手術(子宮・卵巣・腸)

生活状況:仕事復帰を目指すも、体が思うように動かず疲れが抜けにくい。季節の変わり目になると毎年調子を崩す傾向あり。


 
■初診時の状態

「ここ数日ずっと体が重く、息苦しさもある。熱は下がったけれど、いつまでもすっきりしない」と来院。

病院では異常なしと診断されたが、仕事復帰への不安が強く、根本的に整えたいとの希望がありました。

全身を評価したところ、以下の所見が確認されました:

• 胸郭と横隔膜の動きの低下(呼吸の浅さ・自律神経の乱れ)

• 腹部の過緊張(胃・腸の可動性低下、術後の癒着の影響)

• 骨盤の可動制限(副交感神経の働きへの影響)

• 後頭骨〜仙骨のテンション増加(硬膜系のストレス)

• 四肢末端の循環不良(倦怠感との関連)


 
■治療とアプローチ

オステオパシーの原則に基づき、「症状の背景にある全身のアンバランス」を重視して評価・施術を実施。

過去の手術歴や自律神経の状態が現在の体調不良とどのように関係しているかを丁寧に説明したうえで治療を行いました。

具体的には:

• 胸郭・横隔膜のリリースにより、深い呼吸と自律神経系の安定をサポート

• 腹部の内臓マニピュレーションで胃腸の可動性と血流を改善

• 骨盤・仙骨のリズム調整で副交感神経の働きを促進

• クラニオセイクラル(頭蓋仙骨アプローチ)で硬膜系のテンションを解放し、神経系全体の流れを整える

• 自宅で行える呼吸法と簡単なストレッチを指導し、回復の土台づくりを支援



■考察と臨床的なポイント

このケースでは、「原因がはっきりしない不調=仕方がない」と感じていた部分に対して、身体構造からの明確な評価と説明を行うことで、患者さんの納得と安心を引き出せた点が大きな意味を持ちました。

特に、過去の手術による腹部の緊張や癒着が、内臓の動きや自律神経系の不安定さに影響していた点は見逃されやすく、こうした構造的背景へのアプローチが症状の改善につながりました。

また、呼吸の改善とともに全身の巡りが整い、「体が軽くなった」「息がしやすくなった」といった変化を早い段階で実感されたことが、セルフケアの継続にもつながったと考えられます。

今後も季節ごとの体調変化に備えたメンテナンスを行いながら、日常生活の質を高めていくことが期待されます。