2025.04.24
  • 症例報告
思春期における自律神経不調と身体症状の関連性 ― オステオパシーによる調整と生活指導での回復例 ―

■患者さんの声

環境の変化に伴う子供の嘔気、嘔吐、朝起きられないなど全身に及ぶ不調による不登校。毎日薬に頼る生活から心療内科に通うかと悩んだ挙げ句、自律神経失調症と検索し先生に出会いました。

初回の施術後より熟睡感を得られるようになり、疲労が溜まるとことごとく出ていた口唇ヘルペスもなくなり、先生の前向きな言葉に子供も安心して施術していただきました。

食生活や普段の生活で取り入れられる事なども色々と教えていただき、先生の知識の豊富さに助けていただいたおかげで今では毎日元気に登校できるようになりました。

施術は卒業となりましたが、今後も何かありましたら1番に相談させていただきます!

大好きな野球に復帰できる体に戻していただいてありがとうございました。 


■患者情報

年齢・性別:10代・男性(保護者様より)

主訴:朝起きられない、嘔気・嘔吐、全身倦怠感、不登校

既往歴・服薬:頻繁に口唇ヘルペスを繰り返していた/心療内科の受診を検討していた

生活状況:季節の変わり目や環境の変化に影響を受けやすく、疲労が蓄積すると体調を崩しやすい傾向あり。学校への通学が困難な状態が続いていた。 


 
■初診時の状態

「朝起きることができず、吐き気や嘔吐もある。学校に行きたい気持ちはあるが、体がついていかない」とのことで来院されました。

身体を全体的に評価したところ、以下の所見が見られました:

• 頭蓋・後頭部の緊張(視床下部や自律神経系との関係)

• 胸郭と横隔膜の可動性低下(浅い呼吸、全身疲労との関連)

• 胃の可動性の低下(嘔気との関連)

• 骨盤と仙骨のリズムの乱れ(副交感神経との関わり)

• 全身の緊張亢進とリズムの喪失(身体的ストレス反応)



■施術とアプローチ

オステオパシーの考え方に基づき、体のあらゆる構造と機能のバランスを評価。

本人の緊張感を和らげること、そして保護者の不安を安心に変えることを意識しながらアプローチを進めました。

主な施術内容は以下の通りです:

• 頭蓋と脊柱を中心としたクラニオセイクラル(頭蓋仙骨療法)による神経系のリリース

• 横隔膜と胸郭の調整により、呼吸の深さと自律神経の安定を図る

• 胃の可動性の回復と内臓の緊張緩和

• 骨盤・仙骨周囲の調整によって副交感神経の働きを整える

• セルフケアとして、睡眠や食生活の見直し、疲労回復の工夫も併せてご提案 


 
■考察と臨床的なポイント

この症例では、「朝起きられない」「嘔気・嘔吐」といった症状が自律神経系の乱れによるものであり、単に胃腸の問題や睡眠の問題として片づけるのではなく、全身のバランスと神経系の働きを包括的に捉えることが大切でした。

初回施術後から熟睡感の改善が見られ、再発していた口唇ヘルペスが出なくなったことは、自律神経の安定と免疫機能の回復を示す一つのサインと考えられます。

また、施術だけでなく「日常生活で取り入れられる工夫」や「前向きな言葉がけ」など、心理的なサポートも回復に大きく寄与しました。

現在は学校生活にも完全に復帰され、大好きな野球にも戻られたとのことで、ご本人と保護者様の笑顔が私たちにとっても何よりの喜びです。