- 森田智史ブログ
閃輝暗点とは
閃輝暗点は、片頭痛の前兆のひとつとして現れる視覚症状です。
視界の一部にギザギザした光やモザイク模様が現れ、チラチラと輝きながら広がっていきます。
10〜30分ほどで自然に消えることが多く、その後に片頭痛の頭痛発作が起こることがあります。
ただし、頭痛を伴わず閃輝暗点だけで終わる場合もあります。
患者さんによっては「カメラのフラッシュのような光」「視界の真ん中が見えにくい」など感じ方が異なりますが、日常生活に突然現れるため、不安を強く感じる方も少なくありません。
原因
医学的には、脳の視覚野(後頭葉)の神経活動が一時的に異常になることが原因とされています。
特に「皮質拡延性抑制(Cortical Spreading Depression, CSD)」と呼ばれる現象がよく知られています。
- 神経細胞が一斉に興奮し、そのあと一気に沈静化する
- その“電気的な波”が脳の視覚野を通過することで、視覚の異常(光・欠け)が生じる
- この過程で血流や脳内の化学物質も変化し、片頭痛の痛みにつながる
つまり閃輝暗点は「脳が一時的にオーバーヒートして、リセットされる過程で出るサイン」とも言えます。
なりやすい人の特徴
- 片頭痛持ちの人(特に前兆あり片頭痛のタイプ)
- 女性(20〜40代)に多い
- ホルモン変化(生理周期、更年期、妊娠など)の影響を受けやすい
- 睡眠不足や強い光、ストレス、特定の食品(チョコ・赤ワイン・チーズなど)がきっかけになることもある
- 家族に片頭痛の既往がある(遺伝的な要素)
一般的な対応策
閃輝暗点そのものは一過性で、多くの場合は自然におさまります。
しかし、頭痛が続く前触れであることが多いため、対応が大切です。
- 眩しい光や画面から目を休める
- 静かで暗めの環境で安静にする
- 水分をしっかりとる
- 頻繁に起こる場合は神経内科・頭痛外来を受診する
- 片頭痛予防薬や急性期薬の処方を検討(必要に応じて)
また、閃輝暗点が初めて出た場合や、発症年齢が高い場合(50歳以上)には、脳梗塞や網膜の病気との区別が重要です。特に「視力の片側だけに症状が出る」場合は眼科的な原因(網膜血管の問題)も考えられるため、医療機関での精査が必要です。
オステオパシー的アプローチ
オステオパシーでは、閃輝暗点を「脳や自律神経の循環とバランスの乱れ」としてとらえます。
徒手的な介入によって、電気的な神経刺激と似たような調整が可能であると考えられています。
具体的には:
- 頭蓋(クラニアル)の調整 → 脳を包む硬膜や静脈洞の緊張を和らげ、頭蓋内の循環を改善する
- 頸部・胸郭のアプローチ → 迷走神経を含む自律神経系に間接的に作用し、交感神経の過活動を整える
- 横隔膜や体幹の可動性改善 → 呼吸・循環を整え、全身の代謝環境を改善する
これらはすべて「神経に優しい刺激を与えて調整する」という点で、非侵襲的な神経刺激(nVNSやeTNS)と共通しています。
最新研究でも、徒手療法が自律神経バランスや脳血流に影響を与えることが報告されており、オステオパシーの臨床経験と重なる部分が増えてきています。
まとめ
閃輝暗点は片頭痛の前兆として現れる視覚症状であり、脳の神経活動と血流の一時的な変化が原因です。
生活の中では安静・光刺激の回避・水分補給などが大切で、症状が頻繁に出る場合は専門医への相談が必要です。
また、オステオパシーでは「頭痛が起きやすい神経や循環のアンバランス」を整えることで、発作の軽減や予防に貢献できる可能性があります。
薬や機器だけでなく、「手による調整」も神経を整えるひとつの方法として注目されています。
引用文献
- Charles A. The pathophysiology of migraine: implications for clinical management. Lancet Neurol. 2018.
- Russell MB, Olesen J. Auras in migraine: clinical features and epidemiology. Cephalalgia. 1996.
- Puledda F, et al. Neurobiology of migraine aura: cortical spreading depression and beyond. Nat Rev Neurol. 2022.
- Kelman L. The aura: a tertiary care study of 952 migraine patients. Cephalalgia. 2004.
- Cerritelli F, et al. Osteopathic manual treatment and the autonomic nervous system: a systematic review. Complement Ther Med. 2020.
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