- 森田智史ブログ

― オステオパシーの「深い回復」を学ぶ時間 ―
先日、湘南にてバイオダイナミクス・フェーズ2 の講義が開催され、参加してきました。
今回のテーマは 「フルイド(Fluid)」。これはオステオパシーの中でも、体の回復力を理解するうえで非常に重要な概念です。
一般的に「流れ」というと、血液やリンパを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかしオステオパシーで扱うフルイドは、それよりも もう一段深いレベルの体の働き を指しています。
オステオパシーで考える「フルイド」とは
オステオパシーでは、人の体を「骨や筋肉の集合体」ではなく、常に動き、調整され続けている一つの生命システムとして捉えます。
その中でフルイドとは、
- 脳脊髄液のリズム
- 組織の内部で起こる微細な動き
- 神経や循環を通して伝わる回復の情報
といったものを含めた概念です。この流れが保たれていると、体は過剰に緊張せず、必要なところに力を使い、不要なところは自然にゆるみます。逆に、強いストレスや外傷、長期間の不調が続くと、このフルイドの流れが滞り、自律神経の乱れや慢性的な症状として現れることがあります。
バイオダイナミクスは、
この「体が本来持っている回復の流れ」を妨げず、むしろ引き出すためのオステオパシーです。
今回の講師について
今回の講義を担当されたのは、スティファン・キッセル 医師(オステオパシー医) です。
スティファン・キッセル医師は、アメリカを中心に長年臨床を行いながら、バイオダイナミクス・オステオパシーの国際的な教育者として活動されています。オステオパシー医師という資格は、海外では 医師免許を持ったうえでオステオパシー教育を修了した専門職を指します。日本の民間資格とは異なり、解剖学・生理学・病理学・臨床医学を十分に学んだ医師が、さらにオステオパシーの専門教育を受けた存在です。
講義では、テクニックそのものよりも、
「なぜ体はそう反応するのか」
「どこまで介入し、どこから体に任せるのか」
といった、臨床家としての判断の質について多くの学びがありました。

バイオダイナミクス・フェーズ2とは何か
バイオダイナミクスは、段階的に理解を深めていく教育体系になっています。フェーズ2は、体の表面的な緊張や歪みだけでなく、より深い神経系・循環・中枢のリズムを扱います。症状を「直接取りにいく」ことよりも、体が自ら回復に向かえる環境を整えるという考え方が中心になります。そのため、強い刺激や無理な操作は行いません。特に、
- 自律神経の不調
- 慢性的な症状
- 小児・高齢者
- 刺激に敏感な方
に対して、安全性の高いアプローチとして位置づけられていると考えています。

オステオパシーの歴史と国際的な位置づけ
オステオパシーは、19世紀末にアメリカで アンドリュー・テイラー・スティル によって確立されました。
当初から、
- 体は一つのユニットである
- 構造と機能は相互に関係している
- 体には自己治癒力が備わっている
という考え方を基盤にしています。現在、アメリカ・イギリス・フランス・ドイツなどでは、オステオパシーは 国家資格またはそれに準ずる医療資格として位置づけられています。海外では、オステオパスは解剖学や臨床医学を長期間学んだ専門職であり、医療の一部として認知されています。

東京スクール・オブ・オステオパシー(TSO)について
私が学んでいる 東京スクール・オブ・オステオパシー(TSO) は、この国際的なオステオパシー教育を日本で受けられる数少ない教育機関です。TSOは 3年制 で、海外基準に沿った解剖学・生理学・病理学・臨床オステオパシーを体系的に学びます。さらに特徴的なのは、3年で終わりではなく、4年目以降も継続教育が用意されている点です。
学びは8年目まで続く
TSOでは、基礎課程修了後も、頭蓋、内臓、バイオダイナミクス、小児など、専門分野を深めるコースが 8年目まで 続きます。私自身も、JTOC(日本トラディショナルオステオパシーカレッジ)を卒業した後にとはTSOに通いながら、臨床と並行して学びを続けています。これは「今できること」に満足せず、常に新しい視点で患者さんの体を理解するためです。

患者さんへ
森田治療室では、症状をその場で抑えることだけを目的にはしていません。なぜその不調が起きているのか。なぜ回復しにくくなっているのか。そこを丁寧に見極め、体が本来持っている回復力が働けるように整えていくことを大切にしています。今回学んだバイオダイナミクスの内容も、日々の施術の中で、安全性と質を高める形で活かしていきます。体のことで不安なことがあれば、いつでもご相談ください。
