- 近藤健心ブログ
意識の切り替えと、オステオパシー的な見方
起立性調節障害(OD)は、変化に時間がかかることが多い。
ここを先に受け入れられるかどうかで、その後の回復の進み方が変わると感じています。
「早く戻りたい」「元の生活に追いつきたい」
そう思うのは当然だし、むしろ自然です。
でも気合いで突破しようとすると崩れやすい。
体の中で起きているのは、根性の問題ではなく “調節”の問題 だからです。

1. まず大前提:起立性調節障害の回復は「一直線」じゃない
起立性調節障害は、良い日があっても、次の日にガクッと落ちることがあります。
ここを「またダメになった」と捉えると、回復が精神的にしんどくなる。
私がよく伝えるのはこれです。
- 回復は 階段
- しかも階段には 波 がある
- 大事なのは「上がったかどうか」より「崩れ方が変わってきたか」
つまり、目標は「症状ゼロ」だけじゃなくて、
生活が少しずつ回る状態を増やしていくこと。
この考え方に切り替えられるだけで、焦りが減って、結果的に体の回復も進みやすいと感じます。
2. 起立性調節障害に必要な意識変化(ここが回復の土台)
意識変化①:「頑張る」より「崩れない配分」
調子がいい日に詰め込みすぎると、翌日〜数日で反動が来る。
起立性調節障害では本当に起きやすいです。
だから“頑張り方”を変えます。
- 今日は60点までで止める
- 余力を残して終わる
- しんどい日は「戻す日」と割り切る
頑張りを積むのではなく、崩れない範囲を積む。
これが長期的に一番強いです。
意識変化②:「原因探し」より「整える」
起立性調節障害は「これをやれば治る」みたいな単発の正解が見つかりにくい。
その代わり、整ってくると“戻れる幅”が増えていく。
- 睡眠の質が少し変わる
- 午前のしんどさが毎日じゃなくなる
- 崩れても回復が早くなる
こういう変化は、地味だけど確実に前進です。
意識変化③:「良い日を固定しようとしない」
起立性調節障害は波がある。だから良い日を“当たり前”にしない。
良い日は「たまたま」でもいい。
そのたまたまが増えたら、もう十分変化です。
3. オステオパシー的にどう見るか
〜呼吸・胸郭・循環・神経の“調節”として捉える〜
オステオパシーで見るとき、自分はざっくり4つの軸で見ます。
① 呼吸:いちばん手前の“調節スイッチ”
起立性調節障害の人は、呼吸が浅いというより、呼吸が「頑張り型」になっていることが多いです。
胸だけで吸って、吐けない。肩と首で呼吸している。
これだと、体は落ち着きにくい。
ここで使うのが、「静かな呼吸」です。
ポイントはシンプルで、
- 舌を上顎の窪みにつけて、口を閉じ、鼻で呼吸する
- 吐く息を長めにする
- 肋骨の下〜お腹が“静かに”動く
正しい呼吸をすると、体の反応としてよく出るのが
- 動悸っぽさが少し落ちる
- 胸のつかえが抜ける
- 立ち上がる前の不安感が軽くなる
- 睡眠の質が良くなる
もちろん個人差はありますが、呼吸が変わるだけで「今日は少し違う」が出ることがあります。
② 胸郭:呼吸と循環の“ポンプ”の場所
胸郭(肋骨・胸椎)が固いと、呼吸の可動が落ちます。
呼吸が落ちると、循環の助けも弱くなる。
だから臨床では、胸郭を単なる“姿勢”として見ないで、
調節の土台として見ます。
胸郭リリースで狙うのは
- 息が吐ける
- 肩が落ちる
- 胸が広がる
- 頭が軽く感じる
こういう「神経が落ち着く方向」の反応です。
③ 循環:末端を頑張らせる前に“戻り道”を見る
起立性調節障害は、立ち上がったときに下半身に血液がたまりやすい…という話がよく出ます。
ここで大事なのは「循環を上げる!」というより、
循環が戻れる形を作ること。
私がまず見るのは、
- 鎖骨まわり(胸郭入口)
- 横隔膜
- 腹部〜骨盤
“戻り道”が詰まっていると、末端は頑張っても戻りにくい。
ここが整ってくると、
- 手足の冷えが変わる日が出る
- 立った後の不快感が短くなる
- 崩れても戻るのが早くなる
みたいな変化が出やすい印象です。
④ バイオダイナミクス:変えるより、回復できる余白を作る
起立性調節障害は、体が危機モードに入りやすい。
そこに「早く治さなきゃ」が重なると、さらに緊張が抜けにくくなる。
バイオダイナミクス的なアプローチでは、
強い刺激で変えるのではなく、
- 安全感
- 静けさ
- 呼吸の回復
- 体が“戻る”時間
この余白を大切にします。
目標は劇的な変化じゃなくて、
回復できる体の状態を増やすこと。
睡眠が少し変わる、疲労の抜け方が変わる、朝の絶望感が軽くなる。
こういう変化は、実はかなり重要です。
4. まとめ:“焦らない”が治療の一部になる
回復でいちばん厄介なのは、症状そのもの以上に、
「いつまで続くのか分からない不安」と「焦り」です。
だから最初にやるべきことは、
- 回復は波があると理解する
- 崩れない配分で積む
- 症状をゼロにするより、生活が回る幅を増やす
- 呼吸・胸郭・循環・神経の“調節”を育てる
この方向に意識を切り替えること。
オステオパシーは、起立性調節障害を“気合いで治す”方向には向きません。
でも、整えることで回復を支える余地は十分ある。
私はそう感じています。

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