2026.07.04
  • 森田智史ブログ
40歳を過ぎて肩のMRIを撮ると、「異常な腱板」は約1%?

画像だけでは痛みを説明できない理由

肩の痛みで整形外科を受診すると、MRI検査を勧められることがあります。

MRIは、腱板や靭帯、関節唇などを詳しく評価できる非常に重要な検査です。

しかし、

MRIで異常が見つかったからといって、それが現在の痛みの原因とは限りません。

近年、このことを示す興味深い研究が報告されています。


異常な腱板だったのは、わずか約1%

2026年にJAMA Internal Medicineへ掲載された研究では、

40歳以上602名を対象に肩のMRIを解析しました。

その結果、

**異常な腱板だったのはわずか7名(約1%)**という結果が報告されています。

意外と少ないですよね?40歳を超えると四十肩や五十肩になったとよく耳にすることがあると思います。

これは非常に興味深い結果ですが、ここで勘違いしてはいけないことがあります。


「画像の異常」と「痛み」は同じではありません

年齢とともに身体にはさまざまな変化が起こります。

皮膚にシワができるように、関節や腱にも年齢による変化が現れることがあります。

そのためMRIで変化が見つかったとしても、その変化が現在の痛みの原因とは限りません。

現在の疼痛科学では、

痛みは

  • 組織の状態
  • 神経系
  • 心理社会的要因
  • 睡眠
  • ストレス
  • 身体全体の機能

など、多くの要素が関わる現象と考えられています。画像は「構造」を教えてくれますが、

「なぜ痛いのか」までを完全に説明できるわけではありません。


オステオパシーでは「身体全体」を評価します

オステオパシーでは、肩だけを評価することはほとんどありません。

例えば肩の痛みでも、

  • 首や胸椎の動き
  • 肋骨や胸郭の可動性
  • 呼吸パターン
  • 神経の滑走性
  • 姿勢や運動連鎖

なども含めて評価します。

肩は単独で動いているわけではなく、頸椎、胸椎、肋骨、肩甲骨、骨盤、さらには呼吸とも密接に関係しています。

そのため、

「肩が痛いから肩だけを診る」

ではなく、

「なぜ肩に負担がかかり続けているのか」

という視点で身体全体をみることが重要だと考えています。


画像は大切。でも、それだけではありません。

MRIはとても重要な検査です。骨折や腱板断裂、腫瘍、感染症などを見つけるためには欠かせません。

一方で、慢性的な肩の痛みでは画像所見だけでは説明できないケースも少なくありません。

だからこそ、画像診断に加えて身体全体の動きや機能を評価することが、より適切な臨床判断につながると考えています。


参考文献

  • Ibounig T, Järvinen TLN, Raatikainen S, et al. Incidental rotator cuff abnormalities on magnetic resonance imaging. JAMA Internal Medicine. 2026.
  • Kettner NW. Functional Neuroanatomy of Pain Perception. In: Integrative Pain Medicine. 2008.