- 森田智史ブログ
~姿勢・ストレス・自律神経の視点から考える~
毎年この時期になると、中学3年生・高校3年生の受験生が頭痛を訴えて来院されることが増えます。
「勉強を始めると頭が痛くなる」
「夕方になると頭が重い」
「痛み止めを飲んでも繰り返す」
このような症状で悩んでいる学生は少なくありません。
もちろん、頭痛には片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛など様々な種類があり、突然の激しい頭痛や発熱・手足の麻痺などを伴う場合には医療機関での診察が必要です。
一方で、受験期に多くみられる頭痛の中には、長時間の同じ姿勢や精神的ストレスが大きく関与しているケースも少なくありません。

長時間の勉強で首に負担が集中する
受験勉強では何時間も机に向かう生活が続きます。
すると、
・頭が前に出る姿勢(Forward Head Posture)
・上位頚椎周囲の筋緊張
・肩や後頭部の筋肉の過緊張
・浅く速い呼吸
といった変化が起こりやすくなります。
これらは緊張型頭痛や頚部由来の頭痛に関与すると考えられており、首の筋・筋膜や関節からの痛みの情報が頭部の痛みとして感じられることがあります。
首の情報は三叉神経系とつながっている
近年の神経科学では、上位頚椎(C1〜C3)からの感覚入力と三叉神経からの感覚入力は、脳幹の**三叉神経頚髄複合体(Trigeminocervical Complex:TCC)**で統合されることが知られています。
そのため、首の組織からの侵害受容刺激が頭痛として知覚されることがあります。
逆に、頭痛患者では首の痛みや筋緊張を伴うことも多く、この神経学的な関連性が注目されています。
痛み止めだけでは改善しないこともある
痛み止めは一時的に症状を和らげることがあります。
しかし、
・長時間の姿勢
・睡眠不足
・精神的ストレス
・運動不足
・呼吸の浅さ
などの要因が改善されなければ、頭痛を繰り返してしまうことがあります。
特に緊張型頭痛では、筋・筋膜由来の要素だけでなく、中枢神経の痛みの感受性(中枢感作)が関与することも報告されています。
当院でよくみられる受験生の特徴
実際の臨床では、
・起立性調節障害の既往がある
・立ちくらみがある
・疲れやすい
・生理周期が乱れやすい
・睡眠の質が低い
このような全身的な不調を併せ持っている学生が少なくありません。
受験という大きなストレスが加わることで、自律神経のバランスが崩れ、頭痛が出現・増悪するケースもみられます。
当院が大切にしていること
当院では「頭痛を治す」という考え方ではなく、
受験という大きなストレスに身体が適応しやすい状態を目指すこと
を重視しています。
姿勢や呼吸、頚部・胸郭の動き、全身の緊張状態などを評価し、一人ひとりの身体の状態に合わせた施術を行っています。
受験は人生の大切な時期です。
勉強だけでなく、「身体のコンディション」を整えることも、本来の力を発揮するための重要な要素ではないでしょうか。

参考文献
- Castien R, et al. A Neuroscience Perspective of Physical Treatment of Headache and Neck Pain. Front Neurol. 2019.
- Bartsch T, Goadsby PJ. The Trigeminocervical Complex and Migraine. Curr Pain Headache Rep. 2003.
- Jafari M, et al. Effects of Upper Cervical Spine Manual Therapy on Central Sensitization and Disability in Subjects with Migraine and Neck Pain. Muscles Ligaments Tendons J. 2023.
- Pan LLH, et al. Hallmarks of Primary Headache: Part 2 – Tension-type Headache. J Headache Pain. 2025.
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