- 森田智史ブログ
自律神経シリーズ Vol.008
「頭痛は脳だけでなく、首や顎が関係していることもあります」
神経科学から考える頭痛とオステオパシー
① 頭痛とは?
頭痛は日本人の多くが経験する症状です。
代表的なものには
- 緊張型頭痛
- 片頭痛
- 群発頭痛
があります。
特に緊張型頭痛は、デスクワークやスマートフォンの使用、ストレスなどにより首や肩の筋肉が緊張することで起こりやすいとされています。
一方、突然これまで経験したことのない激しい頭痛や、発熱・手足の麻痺・ろれつが回らないなどの症状を伴う場合は、くも膜下出血や脳卒中などの可能性もあるため、速やかに医療機関を受診してください。

② なぜ頭痛が起こるの?
頭痛にはさまざまな原因がありますが、
近年の神経科学では
「三叉神経(さんさしんけい)」
が非常に重要な役割を担っていることが分かっています。
三叉神経は、
- 顔
- 顎
- こめかみ
- 前頭部
- 頭皮
- 硬膜(脳を包む膜)
などの痛みを脳へ伝える神経です。
この神経が過敏になることで、
頭痛を感じやすい状態になります。
③ 神経科学からみた頭痛
三叉神経と上部頸椎
三叉神経は、
上部頸椎(C1〜C3)からの神経情報と脳幹にある**三叉神経頸髄複合体(Trigeminocervical Complex:TCC)**で合流しています。
そのため、
首の筋肉や関節に負担がかかると、
その刺激が三叉神経へ伝わり、
後頭部だけでなく
- こめかみ
- おでこ
- 目の奥
などにも痛みを感じることがあります。
これが**頸性頭痛(Cervicogenic Headache)**の大きな特徴です。
また、片頭痛でも三叉神経が活性化し、**CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)**などの放出を介して炎症反応や血管拡張に関与すると考えられています。
顎関節・噛みしめとの関係
もう一つ重要なのが、
顎関節と咀嚼筋です。
無意識の
- 食いしばり
- 歯ぎしり
- 強い噛みしめ
では、
咬筋・側頭筋・内側翼突筋などが緊張し、
三叉神経への刺激が増える可能性があります。
その結果、
- こめかみ
- おでこ
- 顔
- 頭全体
へ痛みが広がることがあります。
朝起きた時に
「頭痛がある」
「顎が疲れている」
「歯が浮く感じがする」
という方は、
夜間の食いしばりが関係している場合もあります。
④ オステオパシーではどう考える?
オステオパシーでは、
頭痛がある場所だけではなく、
痛みの原因となる身体全体の機能を評価します。
特に評価する部位は
- 上部頸椎(C0〜C2)
- 後頭下筋群
- 顎関節(TMJ)
- 咀嚼筋
- 側頭骨
- 胸郭
- 横隔膜
- 呼吸
- 姿勢
などです。
臨床では、
上部頸椎周囲の緊張が軽減すると、三叉神経への刺激が減少し、頸性頭痛が軽くなるケースを経験します。
また、
顎関節や咀嚼筋の緊張を評価・調整することで、
食いしばりに関連した頭痛が軽減することもあります。
ただし、
頭痛の原因は多様であり、すべての頭痛が徒手療法の対象となるわけではありません。
頭痛の種類や原因を評価し、必要に応じて医療機関との連携も重要になります。
⑤ 頭痛改善の目標
慢性的な頭痛で薬を服用されている方は、
「すぐに薬をやめること」
を目標にする必要はありません。
森田治療室では、
まず最初の目標を
「痛みはあるけれど、薬を飲む回数が減ってきた」
ことに置きます。
その後、
- 頭痛が起こる頻度が減る
- 痛みの程度が軽くなる
- 日常生活への支障が少なくなる
- 薬に頼る機会がさらに減る
という経過を目指していきます。
少しずつ身体の状態が変化していくことが、長期的な改善につながると考えています。
※薬の中止や減量は、ご自身の判断ではなく、処方した医師や薬剤師へ相談してください。
⑥ 日常生活でできること
頭痛予防には、
✅ 長時間同じ姿勢を避ける
✅ スマートフォンを見る姿勢を見直す
✅ 食いしばりに気付いたら力を抜く
✅ 深い呼吸を意識する
✅ 十分な睡眠を確保する
ことも大切です。
⑦ まとめ
✔ 頭痛には三叉神経が重要な役割を担っている
✔ 上部頸椎と三叉神経は脳幹で密接につながっている
✔ 食いしばりや顎関節の緊張も頭痛の一因となることがある
✔ オステオパシーでは首・顎・胸郭・呼吸など身体全体を評価する
✔ 慢性頭痛では「薬を飲む回数が減る」ことを最初の目標とし、徐々に頻度や痛みの軽減を目指す
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参考文献
- Bogduk N. The anatomy and pathophysiology of neck pain. Phys Med Rehabil Clin N Am. 2011.
- Biondi DM. Cervicogenic headache: mechanisms, evaluation, and treatment strategies. J Am Osteopath Assoc. 2005.
- Ashina M, et al. Migraine and the trigeminovascular system. Lancet. 2021.
- International Headache Society. International Classification of Headache Disorders, 3rd edition (ICHD-3). Cephalalgia. 2018.
- Schiffman E, et al. Diagnostic Criteria for Temporomandibular Disorders (DC/TMD). J Oral Facial Pain Headache. 2014.