2026.08.05
  • 森田智史ブログ
10代・20代のPMS・PMDD

婦人科シリーズ Vol.018|

「生理前になると、学校へ行くのがつらい」

「毎月同じ時期に、理由もなくイライラして家族とぶつかる」

「テスト勉強をしたいのに、眠気や頭痛で集中できない」

「生理前だけ、自分ではないように気持ちが落ち込む」

「予定を入れても、生理前になるとキャンセルしてしまう」

このような状態を、性格や反抗期、気持ちの弱さだと思っていませんか。

10代・20代では、生理前の不調があっても、

「みんな我慢しているから」

「学校やアルバイトを休むほどではない」

「家族に話しても分かってもらえない」

と、一人で抱えてしまう方が少なくありません。

PMS・PMDDは、月経周期に伴う身体の変化によって起こる不調です。

本人の努力不足や性格の問題ではありません。


10代・20代に起こるPMS・PMDD

PMSは、生理前の3〜10日ほどに心身の不調が現れ、生理が始まると軽くなっていく状態です。

特にイライラ、不安、抑うつ、感情の不安定さなどが強く、学校生活、仕事、人間関係に大きな影響が出る場合は、PMDDが関係していることがあります。

PMSは思春期にも多くみられ、重い症状では日常生活が難しくなることがあります。日本産科婦人科学会は、月経前の症状と月経開始後の軽快という周期性を確認することが重要だとしています。(日本小児循環器学会)

心に現れやすい症状

・急にイライラして家族に強く当たる
・友人や恋人から距離を置きたくなる
・何をしても楽しく感じられない
・理由もなく涙が出る
・不安が強くなり、悪いことばかり考える
・集中できず、勉強や仕事が進まない
・自分に価値がないように感じる

身体に現れやすい症状

・強い眠気、または不眠
・頭痛
・下腹部痛、腰痛
・お腹や乳房の張り
・むくみ
・便秘
・食欲の増加
・身体のだるさ
・めまい

思春期や若い女性のPMS・PMDDは、感情、学校生活、家族関係などへ大きな影響を与える一方、本人も周囲も月経との関係に気づいていないことがあります。2026年のレビューでも、思春期・若年成人のPMS・PMDDは、感情面、日常生活、家族生活を大きく損なう可能性が指摘されています。(PubMed)


「反抗期」や「性格」の問題にされやすい

10代では、生理前になると感情を抑えられず、家族と衝突することがあります。

本人も、

「また怒ってしまった」

「自分は性格が悪い」

「家族に迷惑をかけている」

と自分を責めてしまいます。

しかし、毎月同じ時期に症状が強くなり、生理が始まると落ち着く場合は、月経周期に伴う神経系の変化が関係している可能性があります。

20代では、大学、就職、一人暮らし、夜勤、アルバイト、人間関係など、生活が大きく変化します。

生理前になると、

・仕事のミスが増える
・朝起きられない
・人と話すことが負担になる
・恋人との関係が悪化する
・大切な予定をキャンセルする

といった問題が起こることもあります。

症状が月経周期と関係していると分かるだけでも、「自分の性格が突然変わったわけではない」と理解しやすくなります。


ホルモンの量ではなく、変化への反応

PMS・PMDDは、単純に女性ホルモンが多い、少ないという問題ではありません。

排卵後から生理前にかけて、エストロゲンとプロゲステロンは大きく変化します。

この変化に伴って、脳の神経伝達物質や、気分・不安・睡眠を調節するシステムにも影響が及びます。

特にPMDDでは、ホルモン量そのものよりも、周期的なホルモン変化に対して脳や神経系が敏感に反応していると考えられています。(日本小児循環器学会)

10代は、身体だけでなく脳や神経系も発達している途中です。

そこへ、

・受験やテスト
・部活動
・友人関係
・睡眠不足
・スマートフォンによる夜更かし
・食事制限
・過度な運動
・進学や就職による環境変化

などが重なると、月経前の変化を受け止める余裕が低下しやすくなります。

思春期のホルモンと精神状態の関係は研究されていますが、ホルモンだけで心の不調を説明できるわけではなく、睡眠、生活環境、心理社会的な負担などを含めて考える必要があります。(PubMed)


PMSと生理痛は同じではありません

PMSは、基本的に生理が始まる前に強くなる心身の不調です。

一方、生理痛は、生理が始まってから子宮が収縮することで起こる下腹部痛や腰痛が中心です。

ただし、実際にはPMSと生理痛が重なっている方も多く、

生理前から気分が不安定になる

下腹部や腰が重くなる

生理が始まると強い痛みが出る

数日間、学校や仕事へ行けない

という流れを毎月繰り返すことがあります。

「生理前もつらく、生理が始まってからも痛い」という場合は、一つの症状だけを見るのではなく、月経周期全体を確認することが大切です。


骨盤・股関節と身体症状

森田治療室では、下腹部痛や腰痛、お腹の張りが強い10代・20代の方に、

・股関節の動きが小さい
・腰や仙骨周囲が硬い
・お腹へ力が入り続けている
・呼吸が浅い
・骨盤底を緩めにくい
・長時間座っている
・部活動や運動による左右差が大きい

といった状態が重なっているケースをみます。

子宮は、骨盤の前後左右へ伸びる支持靱帯によって支えられています。

骨盤や股関節の動きが低下すると、子宮を支える組織にも張力が集中しやすくなり、下腹部の重さ、仙骨周囲の痛み、鼠径部のつっぱりなどとして感じられることがあります。

また、呼吸が浅く、横隔膜や腹部、骨盤底の動きが小さい状態では、骨盤内の循環を支える身体の動きも少なくなります。

PMS・PMDDの精神症状を骨盤だけで説明することはできませんが、身体の緊張や痛みが続くことで、生理前のイライラや不安、疲労感をさらに強く感じることがあります。


オステオパシーでは身体全体を確認する

10代・20代のPMS・PMDDに対して、最初から子宮周囲だけを施術するわけではありません。

森田治療室では、

・頭頸部と自律神経系
・胸郭、肋骨
・横隔膜と呼吸
・脊柱、仙骨
・骨盤と股関節
・腹部、骨盤底
・姿勢と身体の使い方
・睡眠や活動量

などを総合的に確認します。

まずは骨格、関節、筋肉、筋膜など、身体の外側にある構造を整え、子宮や骨盤内組織へ負担が集中しにくい状態を目指します。

学校、部活動、試験、アルバイト、人間関係など、10代・20代の生活から負担をすべて取り除くことはできません。

大切なのは、環境の変化や月経周期の変化があっても、神経系や身体が過剰に反応しにくい「余裕のある状態」をつくることです。


家族や周囲に知ってほしいこと

生理前に感情が不安定になる本人へ、

「また機嫌が悪い」

「反抗期だから仕方がない」

「みんな我慢している」

と言っても、症状の改善にはつながりません。

まずは、本人が実際に困っていることを否定せず、月経周期との関係を一緒に確認することが大切です。

生理日だけでなく、

・気分の落ち込み
・イライラ
・頭痛
・腹痛
・眠気
・学校を休んだ日
・家族と衝突した日

などを2周期ほど記録すると、毎月似た時期に症状が起きているかを確認しやすくなります。症状日誌はPMS・PMDDの評価にも用いられます。(日本小児循環器学会)


医療機関へ相談してほしい状態

次のような状態がある場合は、本人だけで抱えず、婦人科、小児科、思春期外来、心療内科、精神科などへ相談してください。

・生理前になると学校や仕事へ行けない
・毎月、家族や友人との関係が壊れそうになる
・生理が始まっても抑うつや不安が続く
・自分を傷つけたい、消えたいと感じる
・強い腹痛や頭痛で日常生活が送れない
・経血量が非常に多い
・月経周期が大きく乱れている
・食事制限や過度な運動が続いている

PMS・PMDDの治療では、症状の記録や生活調整に加え、症状に応じてホルモン治療、SSRI、心理的支援などを組み合わせることがあります。思春期を含む幅広い年代で、複数の治療方法を組み合わせる考え方が推奨されています。(ACOG)


まとめ

10代・20代のPMS・PMDDは、反抗期や性格の問題ではありません。

月経周期に伴うホルモン変化に対して、発達途中の神経系、睡眠、学校生活、人間関係、身体的な緊張などが複雑に影響しています。

毎月同じ時期に学校へ行けない、家族と衝突する、気分が大きく落ち込む状態を「若いから仕方がない」と我慢する必要はありません。

森田治療室では、子宮だけでなく、自律神経、呼吸、骨盤、股関節、姿勢、生活環境など、身体全体のつながりから評価します。

岡山・倉敷で、生理前のイライラ、気分の落ち込み、頭痛、腹痛、学校生活への影響などに悩む10代・20代女性が、月経周期に振り回されずに過ごせる身体環境を目指します。


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参考文献

  • 日本産科婦人科学会.月経前症候群(PMS).2025.
  • 日本産科婦人科学会.月経前症候群・月経前不快気分障害に対する診断・治療指針.2025.
  • American College of Obstetricians and Gynecologists. Management of Premenstrual Disorders. Clinical Practice Guideline No.7. 2023.
  • Rome E, et al. Premenstrual Disorders in Adolescents: An Updated Review. J Pediatr Adolesc Gynecol. 2026.
  • Luo D, et al. Pubertal hormones and mental health problems in children and adolescents: a systematic review of population-based studies. eClinicalMedicine. 2024.