- 森田智史ブログ
婦人科シリーズ Vol.019
生理周期が安定しない女性へ 子宮の循環・神経・骨盤から考える身体環境
「生理予定日を過ぎても、なかなか来ない」
「先月は28日周期だったのに、今月は40日を過ぎている」
「生理アプリの予定日が、ほとんど当たらない」
「旅行や大切な予定と重ならないか、いつも心配になる」
「以前は安定していたのに、仕事が忙しくなってから乱れ始めた」
生理周期が安定しないと、単に予定が立てにくいだけではありません。
「身体の中で何か起きているのではないか」
「将来、妊娠できるのだろうか」
と、不安を感じる女性も少なくありません。
生理不順には、排卵の変化、体重の増減、睡眠不足、精神的・身体的ストレス、甲状腺の問題、PCOS、40代以降の卵巣機能の変化など、さまざまな要因が関係します。月経が規則的に見えても排卵していない場合もあるため、出血があることだけで判断することはできません。(日本臨床腫瘍学会)

生理不順とは
月経周期は、生理が始まった日から、次の生理が始まる前日までを数えます。
成人女性では、一般的に21〜35日程度が一つの目安です。
周期が21日より短い、35日より長い、月によって日数が大きく変わる、生理が数カ月来ないといった場合は、月経周期の乱れとして婦人科で評価されます。(アメリカ産科婦人科医会)
生理不順には、次のような状態があります。
・予定日より大幅に遅れる
・月に2回、生理が来る
・周期が毎月大きく変わる
・少量の出血が長く続く
・数カ月、生理が来ない
・生理ではない時期に出血する
特に、生理以外の出血や出血量の増加を「生理不順だろう」と自己判断することは避けてください。
排卵の乱れだけでなく、子宮内膜ポリープ、子宮筋腫、子宮腺筋症、炎症などが関係する場合もあります。(日本臨床腫瘍学会)
生理周期が乱れる女性に多い背景
生理周期は、身体が現在の環境へどの程度適応できているかを表す一つのサインでもあります。
例えば、
・残業や夜勤が続いている
・仕事や人間関係の緊張が強い
・育児で睡眠が細切れになっている
・急に体重が減った、または増えた
・食事の量を大きく減らしている
・運動量が急激に増えた
・引っ越しや転職などの環境変化があった
・慢性的な痛みや疲労がある
といった時期に、周期が乱れることがあります。
心身のストレス、極端なやせや肥満、PCOS、甲状腺機能やプロラクチンの異常などは、排卵が不安定になる要因として知られています。(日本臨床腫瘍学会)
40代では、卵巣機能が少しずつ変化し、最初は周期が短くなり、その後は間隔が長くなることがあります。
「最近、生理が早く来る」
「何カ月か来なかったあと、急に出血した」
という場合は、更年期への移行も含めて確認する必要があります。(日本臨床腫瘍学会)
森田治療室が重視する「子宮が働きやすい環境」
生理不順に対する医学的な検査では、排卵、ホルモン、卵巣、甲状腺、子宮の状態などを確認します。
森田治療室では、それらの医学的評価を前提に、身体の側から子宮や卵巣が働きやすい環境になっているかを考えます。
特に確認するのは、
・骨盤内の血液やリンパの循環
・子宮周囲を通る自律神経系の緊張
・腰椎、仙骨、骨盤の可動性
・股関節の柔軟性
・腹部や骨盤底の過緊張
・横隔膜と呼吸
・全身の姿勢と負荷の偏り
などです。
子宮は骨盤の中に単独で存在しているわけではありません。
骨盤、仙骨、腰椎、股関節、腹部、骨盤底などと、筋膜や靱帯、血管、神経を介して関係しています。
骨盤や股関節の動きが小さくなると、子宮周囲の組織にも負担が集中し、循環や神経系が働きにくい身体環境になることがあります。
股関節から骨盤、子宮へ伝わる身体のつながり
生理不順の方では、股関節や骨盤の動きも丁寧に確認します。
特に、
・股関節を外側へ開きにくい
・歩幅が小さい
・片脚へ体重をかける癖がある
・大腿部の外側がいつも張っている
・鼠径部につっぱりを感じる
・腰や仙骨が硬い
といった状態がないかをみていきます。
大腿筋膜張筋や大腿部外側の組織は、股関節と骨盤の安定に関係しています。
ここが過剰に緊張すると、骨盤の動きが制限され、立つ、歩く、座るといった日常動作の中で、骨盤内へ同じ負担が繰り返しかかることがあります。
オステオパシーには「チャップマン反射」と呼ばれる伝統的な評価法があり、大腿外側や骨盤周囲の反応を、子宮・卵巣を含む内臓機能との関連から評価する考え方があります。
森田治療室では、大腿部外側の張りを単なる脚の硬さとして見るのではなく、
大腿部外側
↓
股関節
↓
骨盤
↓
子宮を支える組織
↓
骨盤内の循環・神経系
という全身のつながりから確認します。
大腿筋膜張筋や股関節周囲が緩み、骨盤の動きが回復することで、子宮周囲へ集中していた負担が分散され、月経周期が整いやすい身体環境を目指します。
腰椎上部と子宮周囲の神経系
子宮や卵巣に関係する自律神経は、腰椎や仙骨周囲の神経系ともつながっています。
そのため、生理不順の方では、骨盤だけでなく腰椎上部の動きや緊張も確認します。
例えば、
・みぞおちから腰にかけて硬い
・腰を反らすとつまる
・長時間座ると腰の上部が痛む
・左右どちらかの腰だけが張る
・生理前になると腰が重くなる
といった状態です。
腰椎上部や肋骨下部の可動性が低下し、周囲の筋肉や筋膜が緊張していると、子宮・卵巣領域に関係する神経系も刺激を受けやすくなります。
子宮周囲の緊張だけを直接追いかけるのではなく、神経が通る経路や、その周囲にある骨格・筋膜の状態まで確認することが大切です。
最初の約3回は「全体性」を整える
森田治療室では、生理不順だからといって、最初から子宮や卵巣周囲だけを細かく調整するわけではありません。
初期の約3回は一つの目安として、まず身体全体の緊張を緩めていきます。
確認するのは、
・頭頸部と自律神経系
・胸郭と呼吸
・横隔膜
・脊柱と仙骨
・骨盤と股関節
・腹部と骨盤底
・全身の循環と姿勢
などです。
身体の一部分だけを調整しても、睡眠不足、呼吸の浅さ、全身の緊張、循環の停滞が残っていると、元の状態へ戻りやすくなります。
まずは全身が緩み、呼吸・循環・神経系が協調しやすい状態をつくり、身体が本来持っている恒常性が働きやすい環境を目指します。
毎回の身体の反応を確認しながら、初期段階でどこまで全体が変化するかを評価します。
全体が整ったあとに細かな問題を確認する
身体全体の緊張が落ち着いてから、残っている細かな問題を確認します。
例えば、
・頭蓋や頭頸部の緊張
・過去のけがや交通事故
・手術痕や帝王切開痕
・出産後から続く身体の変化
・強いストレス体験のあとに残った緊張
・片側の骨盤や股関節に残る制限
・腹部や骨盤底の局所的な過緊張
などです。
最初からすべてを細かく追うのではなく、まず全体性を整えることで、どの問題が本当に残っているのかが分かりやすくなります。
全身の緊張によって隠れていた問題を、一つずつ取り除いていくイメージです。
婦人科へ相談してほしい状態
生理不順には、妊娠、PCOS、甲状腺の異常、過度な体重減少、子宮や卵巣の病気などが関係する場合があります。
次のような状態がある場合は、オステオパシーだけで判断せず、婦人科へ相談してください。
・妊娠の可能性がある
・3カ月以上、生理が来ていない
・周期の乱れが数カ月続いている
・生理以外の時期に出血する
・経血量が急に増えた
・強い腹痛や腰痛がある
・体重が急激に減った、または増えた
・ニキビや多毛が急に目立つようになった
・40歳未満で長期間生理が止まっている
不正出血を繰り返す場合には、排卵の問題だけでなく、子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮腺筋症などが隠れていることがあります。(日本臨床腫瘍学会)
まとめ
生理不順は、単に生理の日付がずれるだけの問題ではありません。
仕事、睡眠、体重変化、ストレス、排卵、卵巣機能など、身体が置かれている環境が月経周期に表れていることがあります。
森田治療室では、子宮だけを直接調整するのではなく、まず身体全体を緩め、神経・呼吸・循環が協調しやすい状態をつくります。
そのうえで、腰椎、骨盤、股関節、大腿部外側、骨盤底、頭頸部、過去のけがや手術など、月経周期へ負担を与えている細かな問題を確認します。
岡山・倉敷で、生理予定日が安定しない、生理周期が大きく乱れる、仕事や環境の変化で生理が遅れるといった不調にお悩みの方に対して、子宮が本来の働きを行いやすい身体環境を目指します。
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Vol.020|若い年齢で生理が止まる・無月経とは?
参考文献
- 日本産科婦人科学会.不妊症.2025.
- 日本産科婦人科学会.異常子宮出血と不正性器出血.2025.
- 日本産科婦人科学会.更年期障害.2025.
- 日本産科婦人科学会.体重減少性無月経および摂食障害に関して.2024.
- American College of Obstetricians and Gynecologists. Abnormal Uterine Bleeding.
- American College of Obstetricians and Gynecologists. Amenorrhea: Absence of Periods.