2026.09.08
  • 森田智史ブログ
側弯症とは?成長期の女の子に多い背骨の変化をどう考える?

自律神経シリーズ Vol.47|

「左右の肩の高さが違う」

「片方の肩甲骨だけ出ている」

「前にかがむと、背中の片側が盛り上がって見える」

成長期のお子さんに、このような変化がみられることがあります。

その代表的なものが側弯症です。

特に思春期の女の子では注意が必要です。

側弯症は単純に「姿勢が悪いから背骨が曲がった」というものではなく、成長、骨格、姿勢制御など、さまざまな要素が関係していると考えられています。


側弯症とは?

側弯症は、背骨が単純に横へ曲がっているだけではありません。

背骨が左右へ湾曲すると同時に、椎骨が回旋する「三次元的な変形」です。

立った状態でレントゲンを撮影し、Cobb角という方法で背骨の角度を測定します。

一般的にはCobb角10度以上で側弯症と診断されます。 (srs.org)


どんな特徴がある?

側弯症では、

左右の肩の高さが違う

片方の肩甲骨が後ろへ出ている

腰のくびれが左右で違う

前屈すると背中や肋骨の片側が盛り上がる

といった特徴がみられます。

背骨だけでなく胸郭も回旋するため、立っているときには分かりにくくても、前屈すると左右差が目立つことがあります。 (srs.org)


特に成長期の女の子に注意

10〜18歳頃に発症する原因不明の側弯症を「思春期特発性側弯症(AIS)」と呼びます。

側弯症は男女ともに起こりますが、大きく進行するケースは女の子に多いことが知られています。

重要なのは、

「今何度曲がっているか」

だけでなく、

「これからどのくらい成長するか」

です。

思春期の側弯症は、身長が急激に伸びる時期に進行しやすいためです。 (srs.org)

女の子では、初経前後の成長段階も重要な情報になります。


医学的にはどのように治療する?

側弯症の治療は、

Cobb角

年齢

骨の成熟度

今後の成長量

カーブが進行しているか

などを総合して決めます。

大きく分けると、

経過観察

運動療法

装具療法

手術

があります。

軽度の場合は定期的にレントゲンを撮り、進行していないかを確認します。

まだ成長が残っていて、一般的に25〜45度程度のカーブでは装具療法が検討されます。

装具の目的は、背骨を完全に真っすぐにすることではなく、成長期の進行を抑えることです。 (srs.org)

45〜50度を超える大きなカーブでは、手術が検討される場合があります。 (srs.org)

そのため成長期の側弯症では、整形外科でCobb角や骨成熟度を定期的に確認することが重要です。


側弯症=背骨だけの問題なのか?

ここからがオステオパシーで重要と考えている部分です。

身体は背骨だけで立っているわけではありません。

頭部、視覚、前庭感覚、胸郭、骨盤、股関節、足部などから送られる情報を脳が統合しながら、重力の中でバランスを取っています。

2024年のシステマティックレビューでも、思春期特発性側弯症の子どもでは、健常児と比較して立位バランスや感覚統合に違いがみられることがまとめられています。 (pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)

つまり、曲がっている椎骨だけを見るのではなく、身体全体がどのように姿勢を保っているかを見る必要があります。


骨盤は背骨の土台

背骨の下には骨盤があります。

建物で例えると、骨盤は土台のような位置にあります。

土台に左右差があれば、その上にある身体は頭を水平に保つために、さまざまな場所で代償します。

側弯症の子どもでは、骨盤の非対称性や左右の荷重、姿勢制御との関連が報告されています。 (pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)

ただし、

「骨盤が歪んだから側弯症になった」

という意味ではありません。

骨盤の左右差が原因なのか、側弯症に伴う代償なのかは簡単には区別できません。

オステオパシーでは、骨盤を背骨全体のバランスを見るうえで重要なポイントとして評価します。


なぜ頭蓋を見るのか?

背骨の一番上には頭があります。

人間は、

視覚

内耳の前庭系

筋肉や関節からの固有感覚

を使いながら、「身体が垂直かどうか」を判断しています。

AISでは、姿勢制御や前庭系、身体位置の認識について違いが報告されています。 (pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)

そのため森田治療室では、

頭蓋・頭蓋底

首

胸郭

背骨

仙骨・骨盤

までのつながりを確認します。

これは「頭蓋骨の歪みが側弯症を起こす」という意味ではありません。

頭部を、姿勢制御を考えるうえでの上側の重要な基準点として見ています。


頭蓋と仙骨・骨盤を上下の土台として考える

森田治療室では、

頭蓋・頭蓋底

と

仙骨・骨盤

を、身体の上下にある重要なポイントとして考えています。

背骨が曲がっている場所だけを見るのではなく、

どこで身体がバランスを崩しているのか。

どこで代償しているのか。

どこが動きにくくなっているのか。

を評価します。

側弯の一番大きな場所が、必ずしも身体にとって一番重要なポイントとは限りません。


呼吸や胸郭も確認する

側弯症では胸郭にも回旋が起こるため、

左右の肋骨の動き

胸郭の広がり

横隔膜

呼吸パターン

にも左右差がみられることがあります。

そのため、

吸ったときに左右の胸郭がどう動くか。

下位肋骨が広がるか。

呼吸に合わせて背骨が動いているか。

といった点も確認します。


頭痛や腹痛などもある子どもでは

側弯症の子どもの中には、

頭痛

腹痛

めまい

疲れやすさ

睡眠の問題

起立時の不調

などを同時に訴える子もいます。

これらが側弯症によって起きているとは限りません。

また、「自律神経の不調が側弯症を起こす」とも言えません。

ただし、姿勢制御や神経系、自律神経系との関連については研究が行われています。

こうした症状を伴う場合、森田治療室では背骨だけでなく、

呼吸

胸郭

頭頸部

頭蓋底

仙骨・骨盤

睡眠

消化器症状

なども含めて確認します。

特に頭蓋・頭頸部と仙骨・骨盤は、身体の上下の土台として重要視しています。


オステオパシーで側弯症を真っすぐにできる?

ここは重要です。

現在の研究では、オステオパシーやマニュアルセラピーだけで側弯症を治したり、進行を確実に止めたりできるという十分なエビデンスはありません。

2023年のシステマティックレビューでも、マニュアルセラピー単独でAISを改善できると判断するには十分な根拠がないとされています。 (pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)

そのため森田治療室でも、

「曲がった背骨を手で真っすぐにする」

ことを目的にはしていません。


オステオパシーではどこを見る?

森田治療室では、

頭蓋・頭蓋底

上位頚椎

胸郭・肋骨

横隔膜

背骨

仙骨・骨盤

股関節

足部

まで確認します。

重要なのは、

「どこが一番曲がっているか」

だけではなく、

「どこが湾曲を維持するキーになっているのか」

を見ることです。

曲がっている場所を力で反対方向へ戻すのではなく、身体全体の中で負担が集中している場所や、代償している場所を探します。


成長期だからこそ経過観察が重要

特に、

まだ初経前

身長が急激に伸びている

短期間で左右差が大きくなった

Cobb角が増えている

という場合は、側弯が進行する可能性があります。

この時期はオステオパシーだけで経過を見るのではなく、整形外科で定期的にCobb角や骨成熟度を確認することが重要です。

必要であれば装具療法や側弯症に特化した運動療法も検討します。


背骨だけではなく、身体全体を見る

成長期の身体は常に変化しています。

骨が伸び、筋肉が適応し、重心も変化します。

神経系はその変化に合わせて姿勢を調節しています。

森田治療室では、

背骨

頭蓋・頭頸部

胸郭・呼吸

仙骨・骨盤

股関節・足

姿勢制御

さらに頭痛や腹痛などの全身症状

まで含めて一人の子どもの身体として評価します。

医学的な経過観察を大切にしながら、

身体がどこでバランスを失い、

どこでそれを補っているのかを見る。

これが、森田治療室で側弯症をみるときに大切にしているオステオパシーの視点です。

※本記事は情報提供を目的としており、医学的な診断や治療の代わりとなるものではありません。
特に外傷後のロッキングや大きな腫れでは、半月板や靱帯などの損傷も含めた医学的評価が重要です。


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参考文献

Scoliosis Research Society. Adolescent Idiopathic Scoliosis. (srs.org)

Scoliosis Research Society. Bracing. (srs.org)

Scoliosis Research Society. Surgery. (srs.org)

Paramento M, et al. Neurophysiological, balance and motion evidence in adolescent idiopathic scoliosis: A systematic review. PLoS One. 2024. (pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)

Jung JY, et al. Influence of pelvic asymmetry and idiopathic scoliosis in adolescents on postural balance during sitting. Biomed Mater Eng. 2015. (pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)

Sun Y, et al. Spinal Manual Therapy for Adolescent Idiopathic Scoliosis: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Biomed Res Int. 2023. (pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)