2026.01.16
  • 近藤健心ブログ
起立性調節障害は、焦らないほど前に進む

意識の切り替えと、オステオパシー的な見方

起立性調節障害(OD)は、変化に時間がかかることが多い。
ここを先に受け入れられるかどうかで、その後の回復の進み方が変わると感じています。

「早く戻りたい」「元の生活に追いつきたい」
そう思うのは当然だし、むしろ自然です。

でも気合いで突破しようとすると崩れやすい。
体の中で起きているのは、根性の問題ではなく “調節”の問題 だからです。




1. まず大前提:起立性調節障害の回復は「一直線」じゃない

起立性調節障害は、良い日があっても、次の日にガクッと落ちることがあります。
ここを「またダメになった」と捉えると、回復が精神的にしんどくなる。

私がよく伝えるのはこれです。

  • 回復は 階段
  • しかも階段には  がある
  • 大事なのは「上がったかどうか」より「崩れ方が変わってきたか」

つまり、目標は「症状ゼロ」だけじゃなくて、
生活が少しずつ回る状態を増やしていくこと。

この考え方に切り替えられるだけで、焦りが減って、結果的に体の回復も進みやすいと感じます。




2. 起立性調節障害に必要な意識変化(ここが回復の土台)

意識変化①:「頑張る」より「崩れない配分」

調子がいい日に詰め込みすぎると、翌日〜数日で反動が来る。
起立性調節障害では本当に起きやすいです。

だから“頑張り方”を変えます。

  • 今日は60点までで止める
  • 余力を残して終わる
  • しんどい日は「戻す日」と割り切る

頑張りを積むのではなく、崩れない範囲を積む
これが長期的に一番強いです。

意識変化②:「原因探し」より「整える」

起立性調節障害は「これをやれば治る」みたいな単発の正解が見つかりにくい。
その代わり、整ってくると“戻れる幅”が増えていく。

  • 睡眠の質が少し変わる
  • 午前のしんどさが毎日じゃなくなる
  • 崩れても回復が早くなる

こういう変化は、地味だけど確実に前進です。

意識変化③:「良い日を固定しようとしない」

起立性調節障害は波がある。だから良い日を“当たり前”にしない。
良い日は「たまたま」でもいい。
そのたまたまが増えたら、もう十分変化です。




3. オステオパシー的にどう見るか

〜呼吸・胸郭・循環・神経の“調節”として捉える〜

オステオパシーで見るとき、自分はざっくり4つの軸で見ます。

① 呼吸:いちばん手前の“調節スイッチ”

起立性調節障害の人は、呼吸が浅いというより、呼吸が「頑張り型」になっていることが多いです。
胸だけで吸って、吐けない。肩と首で呼吸している。
これだと、体は落ち着きにくい。

ここで使うのが、「静かな呼吸」です。

ポイントはシンプルで、

  • 舌を上顎の窪みにつけて、口を閉じ、鼻で呼吸する
  • 吐く息を長めにする
  • 肋骨の下〜お腹が“静かに”動く

正しい呼吸をすると、体の反応としてよく出るのが

  • 動悸っぽさが少し落ちる
  • 胸のつかえが抜ける
  • 立ち上がる前の不安感が軽くなる
  • 睡眠の質が良くなる

もちろん個人差はありますが、呼吸が変わるだけで「今日は少し違う」が出ることがあります。




② 胸郭:呼吸と循環の“ポンプ”の場所

胸郭(肋骨・胸椎)が固いと、呼吸の可動が落ちます。
呼吸が落ちると、循環の助けも弱くなる。

だから臨床では、胸郭を単なる“姿勢”として見ないで、
調節の土台として見ます。

胸郭リリースで狙うのは

  • 息が吐ける
  • 肩が落ちる
  • 胸が広がる
  • 頭が軽く感じる

こういう「神経が落ち着く方向」の反応です。




③ 循環:末端を頑張らせる前に“戻り道”を見る

起立性調節障害は、立ち上がったときに下半身に血液がたまりやすい…という話がよく出ます。
ここで大事なのは「循環を上げる!」というより、
循環が戻れる形を作ること。

私がまず見るのは、

  • 鎖骨まわり(胸郭入口)
  • 横隔膜
  • 腹部〜骨盤

“戻り道”が詰まっていると、末端は頑張っても戻りにくい。
ここが整ってくると、

  • 手足の冷えが変わる日が出る
  • 立った後の不快感が短くなる
  • 崩れても戻るのが早くなる

みたいな変化が出やすい印象です。




④ バイオダイナミクス:変えるより、回復できる余白を作る

起立性調節障害は、体が危機モードに入りやすい。
そこに「早く治さなきゃ」が重なると、さらに緊張が抜けにくくなる。

バイオダイナミクス的なアプローチでは、
強い刺激で変えるのではなく、

  • 安全感
  • 静けさ
  • 呼吸の回復
  • 体が“戻る”時間

この余白を大切にします。

目標は劇的な変化じゃなくて、
回復できる体の状態を増やすこと。

睡眠が少し変わる、疲労の抜け方が変わる、朝の絶望感が軽くなる。
こういう変化は、実はかなり重要です。




4. まとめ:“焦らない”が治療の一部になる

回復でいちばん厄介なのは、症状そのもの以上に、
「いつまで続くのか分からない不安」と「焦り」です。

だから最初にやるべきことは、

  • 回復は波があると理解する
  • 崩れない配分で積む
  • 症状をゼロにするより、生活が回る幅を増やす
  • 呼吸・胸郭・循環・神経の“調節”を育てる

この方向に意識を切り替えること。

オステオパシーは、起立性調節障害を“気合いで治す”方向には向きません。
でも、整えることで回復を支える余地は十分ある。
私はそう感じています。


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